― 通知が出たら、本当に病院へ行くべき? ―
最近、Apple Watchなどのスマートウォッチから、
「心房細動の可能性があります」と通知され、
不安になって受診される方が増えています。
突然そんな表示が出ると、
「これって危険?」
「救急に行った方がいい?」
「本当に心房細動なの?」
「放っておいて大丈夫?」
と心配になりますよね。
前回は、Apple Watchがどのように不整脈を見つけているのかを解説しました。
Apple Watchは、
“脈の乱れ(PPG)” と “簡易心電図(ECG)” を組み合わせて、不整脈を検出しています。
今回はその続きとして、
「実際に通知が出た時、どう考えればよいのか?」
を循環器専門医の立場からお話しします。
Apple Watchの通知だけで“確定診断”ではない
まず大切なのは、Apple Watchの通知だけで、心房細動と確定するわけではないということです。
Apple Watchは、脈の不規則性を解析して、
「心房細動っぽい」というパターンを検出しています。
ただし、前回お話ししたように、普段Apple Watchが見ているのは、「心筋の電気活動」ではなく、「血流(脈)」です。
そのため、
- 一時的な期外収縮
- ストレス
- 睡眠不足
- 飲酒
- 測定時の体動
- ノイズ
などでも脈は乱れることがあります。
つまりApple Watchは、“異常のサインを教えてくれる装置”と考えることが大切です。

一方で、本当に心房細動が見つかることも少なくない
一方で、
Apple Watchがきっかけで心房細動が見つかる方は実際にいます。
特に心房細動は、
- 発作的に出る
- 症状が軽い
- 動悸を自覚しない
ことも多く、病院へ来た時には正常に戻っているケースも珍しくありません。
そのため、日常生活の中で異常を記録できるというのは、ウェアラブル機器の大きな強みです。
“症状”があるかどうかがとても重要
Apple Watchの通知以上に大切なのは、
「実際にどんな症状があるか」です。例えば、
- 動悸
- 息切れ
- 胸の不快感
- めまい
- 脈の乱れ
を伴う場合には、一度循環器内科で相談することをおすすめします。

逆に、「通知が1回だけ」「症状がまったくない」
場合には、慌てて救急受診しなくてよいことも多いです。
こんな症状があれば早めの受診を
一方で、
- 胸痛
- 強い息切れ
- 失神
- 強い動悸
- 急激な症状悪化
がある場合は注意が必要です。
Apple Watchに通知が出ていなくても、こうした症状がある場合には、早めに医療機関へ相談してください。
なぜECG(心電図)記録が重要なの?
Apple Watchでは、ECG(心電図)機能を使って簡易的な心電図を記録できます。
これは「脈」ではなく、「心筋の電気活動」を見ています。
つまり、「本当に不整脈なのか」「どんなタイプなのか」を判断する重要な手がかりになります。
特に大切なのが、
“症状がある時に記録すること”です。
診察室では正常でも、
症状が出ている時のECGが残っていると、診断につながることがあります。
病院ではどんな検査をするの?
実際の診療では、Apple Watchの通知だけで判断するわけではありません。まず、
- 12誘導心電図
- 問診
- 血液検査
などを行います。必要に応じて、
- 24時間心電図
- 長時間モニター
- 心臓超音波検査
などを組み合わせて、本当に不整脈なのか?危険なタイプなのか?治療が必要なのか?を総合的に判断していきます。

心房細動は“放置しない”ことも大切
心房細動は、症状が軽くても脳梗塞の原因になることがあります。
一方で、「見つかった=すぐ危険」というわけでもありません。
- 発作の長さ
- 年齢
- 脳梗塞リスク
- 症状
- 心機能
などを総合的にみながら、
- 経過観察
- 薬物治療
- 抗凝固療法
- カテーテルアブレーション
などを検討していきます。
【執筆】井上健司
東京ハートリズムクリニック新宿 院長
[専門領域]
・虚血性心疾患
・総合内科専門医・指導医
・日本循環器学会専門医
・心血管カテーテル治療認定医
Apple Watchなどのウェアラブル機器は、不整脈を早期発見する大きな助けになる時代になってきました。
特に心房細動は、脳梗塞予防という意味でも、“気づく”こと自体に大きな意味があります。
一方で、「表示された=すぐ重症」
というわけではありません。
大切なのは、
必要以上に怖がらないこと
でも自己判断で放置しすぎないこと
のバランスです。
当院では24時間心電図や超音波検査を組み合わせて評価しています。
Apple Watch異常のご相談にも対応していますので、
「これって本当に不整脈なの?」
「受診した方がいい?」
と不安な方は、お気軽にご相談ください。
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