高血圧の定義
収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の両者もしくは、どちらか一方を満たせば高血圧と診断されます。その理由は血圧がそれ以上になると、明らかに、将来、脳卒中や狭心症、心筋梗塞になる可能性が高くなるからです。
高血圧と心房細動
高血圧があると、ない人に比較して心房細動に1.5倍なりやすくなります。また、心房細動の人が高血圧を合併すると、そうでない人に比較して脳梗塞をさらに発症しやすくなります。心房細動のために血液サラサラ(抗凝固薬)を内服している人は、高血圧を合併すると脳出血などの出血性合併症を引き起こしやすくなります。
二次性高血圧
何か他に原因があり、血圧が上がることを二次性高血圧と言います。その原因で最多のものは、睡眠時無呼吸症候群です。無呼吸症候群があると、高血圧に2倍なりやすく、心房細動に4倍なりやすくなります。睡眠時無呼吸症候群が原因の高血圧の特徴は、早朝高血圧です。起床時に血圧が高いけれど、日中は下がっている人は、睡眠時無呼吸症候群を合併していることを疑う必要があります。今まで過小評価されてきましたが、睡眠時無呼吸症候群は心房細動、高血圧の原因の可能性があります。そのような人は、心房細動、高血圧の治療のみを行っても、原因である無呼吸症候群の治療をしないと、心房細動が再発したり、高血圧の治療がうまく行かなかったりします。そういう人は無呼吸症候群の治療であるCPAPを考慮した方が良いでしょう。
降圧目標
心房細動を合併した高血圧患者の治療目標は、一般の人の降圧目標と変わりなく、上の血圧/下の血圧をそれぞれ140/90mmHg未満にすることです。低ければ低いほど、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞発症の危険性は下がります。血圧が下がりすぎたことで、ふらつきを起こさないのなら、血圧は低いほど良いことになります。
血圧治療方法
まずは減塩です。減塩だけで薬が不要な人は、いっぱいいます。薬を使用するとしたら、慢性心房細動の人は、心拍数の調整も兼ねてビソプロロールやジルチアゼムが良く使用されます。しかし、結果的に血圧が下がらないと意味がないので、複数の薬剤を必要とすることもあります。
【執筆】桑原大志 医師・医学博士
東京ハートリズムクリニック院長
日本不整脈心電学会認定不整脈専門医