当院で使用してる医療機器 〜治療成績と安全性向上のために〜
320列マルチスライスCT
当院では、アブレーションを実施する前に、心臓造影CTを行っています。CTは東芝社製のAquilion ONEです。この機器は320列の検出器が0.35秒で体の周りを1回転し、一度に16cm幅のものが撮影できます。心臓の大きさは、ほとんどの人で16cm以下ですので、1回転ですべて撮影可能です。
心臓造影CTの検査目的は、
1)心臓の解剖の把握、
2)左心耳に血栓がないことの確認、
3)冠動脈の性状の確認、
です。
心臓の解剖を把握すると、それはそのまま、アブレーションの焼灼の際に役に立ちます。左心耳に血栓がないことを確認することはアブレーション前には必須です。CTを実施することで、評判の悪い経食道心エコーも省くことができます。また、冠動脈に狭窄(狭心症)があると、アブレーション手術に支障を来すことがあります。
下記の画像は当院で撮影されたものですが、冠動脈、心房、左心耳等が極めて明瞭に描画されています。このような術前情報は、手術の際にとても役にたちます。
左:冠動脈が小さい枝まで描出されています。
中央:左心房を後ろから見たところ、4本の肺静脈の解剖が明らかです。
右:左心耳に造影剤が末端まで流れ込み、血栓は認められません。
アンギオグラフィシステム
福島の原発事故をきっかけに、医療被曝にも改めて注意が向けらました。
心房細動アブレーションに伴う被曝線量を聞かれることが多くなっています。
当院で導入しているX線アンギオグラフィシステム Infinix Celeve-i は、極限まで線量低減を追及した最新機器です。 患者さんへの線量低減はもちろんですが、われわれ術者やスタッフも可能な限り線量低減に努めることが大切です。
3次元マッピングシステム CARTO3
立体的な構造物である心臓の様子を極めて明瞭に把握できるナビゲーションシステムで、原理はカーナビゲーションシステムと同じです。
心臓の周りに磁場を作成し、カテーテル先端に埋め込まれたセンサーの位置を把握します。このシステムによって、心臓の中の解剖と電気的情報(どこが傷んでいるか)を実物と1mmの誤差範囲内で3次元表示できます。
特に治療件数の多い心房細動では、患者さんごとに心房のカルトマップを作成し、心房細動起源のみならず、一旦始まった心房細動を持続させる心房細動気質(傷んでいるところ)も治療するようにしています。そうすることで治療成功率が高まるのです。