前回は、心臓を車にたとえて「エンジン(心臓)が弱いのか、それとも車体やタイヤ(生活習慣)に原因があるのか」を考える視点を紹介しました。
では、実際に 車体(体重)やタイヤ(運動習慣)を整えるにはどうすればいいのか?
今回は、その実践方法とエビデンスについて解説します。
心房細動の予防│適正体重を保つことの意味
体重が増えると心臓に余計な負担がかかり、左心房の拡大や血圧上昇を通じて心房細動などの不整脈が出やすくなります。
日本の疫学研究でも、体格指数(BMI:Body Mass Index)=体重(kg) ÷ [身長(m)×身長(m)] が高い人ほど、心房細動のリスクが上がることが示されています。
目安として、BMIが18.5〜24.9の範囲が「適正体重」とされます。
(ぜひ一度ご自身のBMIを計算してみてください(https://keisan.site/exec/system/1161228732))
体重を少し整えるだけでも、心臓への負担を減らし、不整脈の予防や症状の軽減につながります。
逆に、適正体重を維持することが不整脈の予防や症状の軽減につながることが分かっています。
心房細動の予防│運動習慣は「軽めを続ける」ことが大切
アメリカのFramingham研究をはじめとする複数の研究では、週150分程度の中等度運動(速歩きや軽いジョギング) が心房細動リスクを下げると報告されています。
ポイントは「強さ」より「継続」。息が弾み、軽く汗ばむ程度の運動を、週に数回でもいいので習慣化することが重要です。
心房細動のリスク│過度な運動は逆効果になることも
一方で、フルマラソンやトライアスロンのような持久系スポーツを過剰に行うと、かえって心房細動のリスクが高まることも知られています。
つまり大切なのは「やりすぎないこと」。
無理のない範囲で、楽しみながら続けるのが最良です。
体重管理や運動習慣は、抗凝固薬や抗不整脈薬、アブレーション治療の効果を支える「土台」でもあります。
生活習慣を整えることで、医療の効果も高まり、より長期的に安定した状態を維持できます。

#写真:筆者は今のところ心房細動ではありません。
まとめ
- 適正体重の維持は不整脈予防の基本
- 運動は「軽めを長く続ける」のが最も効果的
- 過度な運動は逆効果になることもあるので注意
- 生活習慣は薬や治療の効果を高める「土台」になる
次回は、不整脈の中でも特に多く、脳梗塞との関わりが深い「心房細動とは?」について解説します。
参考文献
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- The Counterintuitive Role of Exercise in the Prevention and Cause of Atrial Fibrillation.
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