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ワルファリンとダビガトラン

院長ブログ

ワルファリンとダビガトラン

心房細動の脳梗塞予防のために、ワルファリンに代わる新規抗凝固薬という薬があります。以前、お話したダビガトランという薬がそうです。ワルファリンと違い、「納豆をたべてはダメ」などという食事制限が不要なので、内服管理が簡単です。最近では、ダビガトランに加え、イグザレルト、エリキュースと次々に新薬が発売されています。

 

ワルファリンを中止するよりも、ワルファリンを内服しながらアブレーションを実施した方が、手術による脳梗塞の合併が少なくなります(1)。術中にワルファリンによる抗凝固状態(血液サラサラ状態)を維持したままアブレーションを実施する方が、脳梗塞の予防効果があるというこです。また、術中にもし出血性の合併症が発症しても、PPSBというワルファリンの効果を中和する薬を投与することで、抗凝固状態は急速に消失し、止血は容易です。しかし、ダビガトランには、中和薬がないのです。術中に大出血を来たしたならば、止血が非常に困難になります。少しでも術中でのダビガトランの効果を減らすために、アブレーション当日の朝は、内服を中止しています。しかし、その分、抗凝固作用も薄れることになり、脳梗塞予防という観点からは不利になるということです。

 

最近、ワルファリンとダビガトランの、心房細動アブレーション脳梗塞合併率を比較した10の研究のメタ解析が発表されました。それによると、ワルファリン内服患者2356人中4人(0.2%)、ダビガトラン内服患者1501人中10人(0.7%)に術関連の血栓塞栓症が発症し、ダビガトランの方が発症率が高くなっています(下図)(2)。

 

当院に、紹介されてくる患者さんの中にも、上記新規抗凝固薬を投与されている患者さんがいらっしゃいます。面倒でも、当院ではアブレーションを実施する前に、新規抗凝固薬からワルファリンに変更し、ワルファリンを内服したままアブレーションを施行しております。ワルファリンを内服したままアブレーション実施したほうが安全だと思うからです。

 

ワルファリンの方がダビガトランに比べ、術関連の血栓塞栓症の発症は少ないという結果です。参考文献 (2)より。

参考文献
(1)Kuwahara T, et al. J Cardiovasc Electrophysiol. 2013;24:510–515. 
(2)Steinberg BA, et al. J Interv Card Electrophysiol. 2013;37:213–221.