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2-3 心房細動の症状

2-3 心房細動の症状

2-3-1 3大症状「動悸」、「息切れ」、「めまい」

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動悸
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息切れ
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めまい

心房細動による3大症状は、「動悸」、「息切れ」、「めまい」です。

心房細動になると、心拍の規則性が完全に失われてしまいます。そして、病初期には、心拍の速さは一般的に速くなります(下図)。この不規則で、速い心拍のために、動悸を自覚します。

ちなみに、心拍数とは、心臓が拍動する回数のことで、脈拍数とは、血管が拍動する回数のことです。洞調律の人は、この両者は一致します。しかし、心房細動患者さんの多くは、一致しません。心拍数>脈拍数となります。心房細動で脈拍数が100拍/分の人は、心拍数はそれ以上の120〜150拍/分になっています。

また、心拍数が速くなると、心臓は疲弊し、その内、収縮する機能が低下します。運動しても、体が必要とするだけの、血液を送りだすことができません。そのために「息切れ」を自覚します。それまで何ともなかった坂道や階段が息苦しくて、いっきには昇れなくなります。

そして、心房細動患者さんは、洞不全症候群といって、脈拍が遅くなる病気も持ち合わせていることがあります。そういう人は、心房細動が停止した際に、洞結節が働き出すのがおくれ、5〜10秒程度、心拍動が停止します。その間、血液は脳に運ばれないので「めまい」を自覚します。ひどい場合には、失神します。

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2-3-2 心房細動患者の4割は症状がない −自己検脈の重要性−

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心房細動をわずらっても、日頃は無症状の人もいます。「無症候性心房細動」といいます。心房細動患者全体からみると、40%の人は、これに該当します。

そういう方は、検診等の心電図検査で、偶然、心房細動を指摘され、病院に紹介されてきます。「何か症状を自覚していますか?」とたずねても、「何も症状はありません。特に何も困っていない」ときます。「どうしてここに来なければならないのだ?」と少々怪訝そうです。

しかし、無症候性といっても、脳梗塞を発症するリスクは同じです。適応基準を満たせば、抗凝固薬を内服した方が懸命です。

無症候性の心房細動に気づくためには、「自己検脈」が非常に重要です。自己検脈とは自分で脈拍をチェックすることです。手首の外側の橈骨動脈が、脈拍を触知しやすい部位です。反対側の指2〜3本で触知すると拍動が分かりやすく(下図)、心房細動になると、脈拍の規則性が完全に失われます。
脈拍の触れ方、黄色の部分が橈骨動脈が最も触知しやすい場所です.

2-3-3 心房細動は脳梗塞を合併しやすい


心房細動になると、脳梗塞を発症するリスクが5倍になります。リスクが5倍になるというのは、100人の洞調律の人が、ある一定期間に5人脳梗塞になったとすると、100人の心房細動患者さんは、同じ期間で25人脳梗塞になるということです。

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2-3-4 心房細動による脳梗塞は重篤化しやすい

心房細動になると、心房は全体が調和して動かなくなり、細かく震え始め、心房内での血流が落ちてしまいます。心房内には心耳といって、袋状の構造物があり、そこで血液がよどみ始めて、血栓が出来てしまいます。(右図)

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この血栓の一部が、はがされて、血流にのり、脳血管を閉塞すると脳梗塞を引き起こします。脳血管のどこにつまるかは、血栓の大きさと、脳血管の太さに依存します。血栓が大きく、脳血管が狭いと、より近位側が閉塞し、脳梗塞の範囲は広くなり、重篤になります。

ちなみに、心房は胎生期(母親のおなかにいた頃)には、原始心房として、血液を送り出すポンプ機能をもっており、心耳の内面には、すじ状の筋肉が張り巡らされています。この部分には、ところどころにすき間があり、血液がよどみやすい原因になっています。

【執筆】桑原大志 医師・医学博士
東京ハートリズムクリニック院長
日本不整脈心電学会認定不整脈専門医