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放置すると脳梗塞につながることも?!「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」の違いとは?

コラム

放置すると脳梗塞につながることも?!「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」の違いとは?

「健康診断で不整脈を指摘されたけれど、放置している」という人も多いのではないでしょうか。しかし、不整脈の種類によっては脳梗塞を引き起こすこともあるのをご存知ですか?あの元巨人軍監督の長嶋茂雄氏も、不整脈に由来する脳梗塞に倒れたひとり。不整脈にはさまざまな種類がありますが、いったい、どのような不整脈に気をつければ良いのでしょうか。院長の桑原大志がわかりやすく解説します。

目次

不整脈

不整脈には「怖いもの」と「怖くないもの」がある

健康診断の心電図検査で「不整脈が認められる」と指摘され、ドキッとしたことがある人もいるのではないでしょうか。

しかし、特に自覚症状もないため、安易にとらえ、そのまま病院へいかず、放置している人も多いと思います。しかし、不整脈を放置するとさまざまなリスクがあります。

不整脈とは、心臓のリズムが乱れること

不整脈とは、簡単にいえば「脈が乱れること」。

心臓は1日に約10万回、ポンプのように収縮と拡張を繰り返し、全身へ血液を送り出しています。通常、この収縮と拡張は規則正しく行われていますが、ときにはそのリズムが乱れることがあります。これが「不整脈」です。

不整脈はほとんどすべての人に認められる

24時間記録する心電図検査を行うと、脈拍の乱れを自覚していない人を含めてほとんどすべての人に不整脈を認めます。一生のあいだで不整脈が出ない人はいないといっても過言ではないでしょう。

不整脈が引き起こす問題のひとつは症状です。突然、脈拍が早くなったり、遅くなったり、乱れたりして不快感を自覚します。

いきなり心臓が信じられないスピードで速く打ち始めると、「死ぬかもしれない」と恐怖を感じることがあるかもしれませんが、生命の危険性という点では、その不整脈の多くは心配いりません。

しかし、なかには逆に症状は軽微でも、もしくはほとんど症状がなくても命を危険にさらしたり、脳梗塞や心不全という重篤な合併症を引き起こしたりする「怖い不整脈」が潜んでいることがあります。

命を危険にさらす「怖い不整脈」、代表的な4疾患

いったい、「怖い不整脈」とはどのようなものでしょうか。

「怖い不整脈」には多くの場合、予兆として

  1. 動悸
  2. 息切れ
  3. めまい

が現れます。

特に、心電図で異常を指摘されたことがあり、なおかつ、気を失ってしまうようなめまいがある場合は要注意です。その場合、命を脅かす「怖い不整脈」につながる可能性があります。

ここでは、命を脅かす「怖い不整脈」のなかから代表的なものを4つ、紹介しましょう。

以前は「ポックリ病」と呼ばれていた致死性の不整脈

「ブルガダ症候群」とは、突然、夜間眠っているあいだなどに頻拍発作を起こす致死性の不整脈です。

40代以降の中高年男性(特にアジア人)に多く、以前は「ポックリ病」といわれていました。発作を起こすと心臓が痙攣状態になって、体に血液を送ることができなくなり、意識を消失し、場合によってはそのまま死に至ります。

怖い不整脈の予兆として「動悸」「息切れ」「めまい」があると前述しましたが、このブルガダ症候群の恐ろしいところは、そうした予兆がまったくなく、突然発作を起こす場合があるということです。

ただし、ブルガタ症候群の人は発作前に安静時の心電図ですでに異常がみられることがあります。検診等で「ブルガタ型心電図」と指摘される人がそれに当たります。

また、この「ブルガタ型心電図」を有し、なおかつ近親者に突然死した人がいる場合は、将来、突然死に至るブルガタ症候群の可能性もあり、注意が必要です。必ず医療機関を受診しましょう。

すでに失神発作を引き起こしブルガダ症候群であると診断された人、もしくは失神発作はないものの極めて高い可能性で将来失神発作を引き起こす可能性が高いと判断された場合は、「植え込み型除細動器(ICD)」による治療の適応があります。

子どもに多い「QT延長症候群」

「QT」とは心電図波形の一部分のこと。この部分が異常に延長し、失神や突然死を引き起こす疾患を「QT型延長症候群」といい、初回のイベントは、学童期から思春期に多く認められます。

運動中、精神的に緊張したとき、また目覚まし時計や電話のベルの音などの音刺激を誘引として、失神や眼前暗黒感を認めます。多くの場合、遺伝によって発症し、日本では2500人にひとりの頻度で発症するといわれています。

運動制限や薬物によって治療されますが、それらを行っても失神発作を引き起こすようならば「植え込み型除細動器(ICD)」の適応です。

「怖い不整脈」の種類と「発症しやすい人」の特徴

心臓病の既往がある人は要注意「心室頻拍(しんしつひんぱく)」

「心室頻拍」とは、心臓の下部にある2つの心室を発生源とする不整脈のこと。正常な心拍数は毎分60~100回ですが、心室頻拍になると毎分100回以上になります。

心室頻拍の持続時間が長いと、動悸、息切れ、めまい、ふらつき、失神などの症状が起こり、最悪の場合、意識消失や突然死を起こすことがあります。

心室頻拍は、心筋梗塞や心筋症などの基礎疾患を持つ人に起こると突然死を引き起こすことがあります。

心室頻拍のきっかけは心室性期外収縮ですが、この心室性期外収縮は自覚しにくいという特徴があるため、心筋梗塞や心筋症の既往のある方は、24時間記録する長時間心電図等を実施して、心室頻拍そのもの、もしくは心室頻拍に移行するような心室性期外収縮がないか調べましょう。

もし、心室頻拍の恐れがある場合は、失神等の既往がない場合でも、突然死を予防するため、植え込み型除細動器(ICD)による治療が行われることがあります。

高齢社会で増加傾向にある「心房細動」

「心房細動」とは、右心房と左心房に無秩序な電気信号が多数発生することにより、両心房が細かく震え、機能しなくなってしまう状態のことをいいます。

ブルガダ症候群や心室頻拍と異なり、心房細動そのものによって死に至ることはほとんどありませんが、心房細動になると脳梗塞や心不全の発症リスクを5倍高めることがわかっており、注意が必要な不整脈です。

この心房細動のリスク要因は3つあります。1つ目は基礎疾患(心筋梗塞、心筋症、高血圧など)、2つ目は飲酒の習慣、3つ目は加齢です。

つまり、歳を重ねれば誰にでも心房細動が起こるリスクがある、ということです。実際に、高齢化社会の日本で、治療が必要な不整脈として患者数が最も多いのがこの心房細動です。

心房細動の初期は発作的に不整脈が起こりますが、進行すると一日中ずっと心房細動が続く「持続性心房細動」となっていきます。治療には抗凝固薬などによる薬物療法のほか、カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)があります。

経過観察で大丈夫…心配無用の「怖くない不整脈」

このように、命を危険にさらす「怖い不整脈」がある一方で、経過観察でも大丈夫な「怖くない不整脈」もあります。

もっとも一般的な「心室性期外収縮」と「心房性期外収縮」

期外収縮の「期」は「予期」の期で、心臓が予期されたタイミングから「外」れて早めに打ってしまうので期外収縮と呼んでいます。

通常心臓の収縮は、洞結節という「発電所」で発生した電気信号に心筋が反応することで起こります。しかし期外収縮になると、洞結節ではない部位から電気が発生して、信号を送ることがあります。そのため、通常の脈よりも早い段階で心臓の収縮が起こってしまうのです。

期外収縮には2種類あり、「心室性期外収縮」と「心房性期外収縮」です。これらは、不整脈が心室で起こっているのか、または心房で起こっているのかによって名称が異なります。

期外収縮は健康な人でも生じる不整脈であり、年齢とともに増加します。まったく症状がなく、健康診断の心電図検査で初めて指摘される人もいますし、「心臓がドキッとする」「突然、胸が苦しくなる」などの症状を自覚して気づく人もいます。

また、期外収縮が起きる瞬間に、不整脈とは全く無縁そうな「咳」が出る人もいます。これは、狭い胸郭の中で心臓の動きが一瞬大きくなり、物理的に気管支を圧迫するために起こります。

多くの場合は加齢のほか、カフェインの過剰摂取、大量飲酒、睡眠不足、疲労、ストレスなどが原因となります。

自分だけで「勝手に判断」するのは危険

「怖くない不整脈」も放置すれば「怖い不整脈」に移行する可能性も

「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」について話してきましたが、正しく見極めるのは、医師でなければ困難です。

また、心室性期外収縮や心房性期外収縮のように「怖くない不整脈」であっても、その後の経過観察を怠ると、いつの間にか「怖い不整脈」へ移行してしまっている場合もあります。

そのため、一度でも健康診断の心電図で異常がみつかった場合は、早期に医師の診断を受け、指示を仰ぐことをお勧めします。

不整脈は決して珍しい病気ではありません。しかし、安直に考えると重篤なリスクを引き起こすこともあります。とくに、「心筋梗塞や心筋症の既往がある」「身内に心臓病で突然死した人がいる」という場合は要注意です。

ぜひ、健康診断のアラートを「病気にいち早く気付くチャンス」と理解し、適切な行動を取るようにしましょう。

執筆者

東京ハートリズムクリニック 院長
桑原 大志

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