車にたとえて考える心臓の働き
「動悸がする」「息切れがある」と来院される患者さんに、私はよく「心臓を車にたとえて考えてみましょう」と説明します。
車が快適に走るためには、エンジンの性能だけでは十分ではありません。軽い車体、空気抵抗の少ない形、しっかりしたタイヤがそろって初めてスムーズに走れます。いわばスーパーカーです。
逆に、エンジンが立派でも、重い車体を載せていたり、細いタイヤしか履いていなかったりすれば、快適には走れません。
人間の体も同じで、たとえ心臓(エンジン)が健康でも、体重が重すぎたり(=車体が重い)、日頃から運動をしていない(=タイヤが弱い)と、心臓に余計な負担がかかり、動悸や息切れを感じやすくなるのです。
体重と運動習慣が不整脈に与える影響
実際に、体重管理や運動習慣が不整脈の症状に影響することは数多くの研究で示されています。
たとえばオーストラリアの研究(LEGACY試験)では、心房細動の患者さんが減量と運動を継続すると、症状の頻度や強さが大きく減少し、治療成績も改善することが報告されました。
また、定期的な運動は心拍数を安定させる効果があり、不整脈の再発リスクを下げることも知られています。
心臓に優しい生活で快適な毎日を
一方で、もし心臓に少し弱さがあっても(小さめのエンジンだとしても)、それに見合った車体(=適正体重)とタイヤ(=運動習慣)が整っていれば、都内の一般道を走るには十分です。
もちろん高速道路を飛ばすようにはいきませんが、日常生活を快適に送ることは可能です。 つまり、不整脈や心臓の弱さがあるからといって、必要以上に悲観する必要はありません。
大切なのは、「エンジンの性能」だけでなく「車体やタイヤ」も整えること。それによって心臓の負担を減らし、生活の質を大きく向上させることができます。
次回は、その「タイヤ」にあたる 日常の運動習慣と適正体重の重要性 について、もう少し具体的にお話しします。

#絵はAIのDALL-Eで作成してます
引用文献
1.Long-Term Effect of Goal-Directed Weight Management in an Atrial Fibrillation Cohort: A Long-Term Follow-Up Study (LEGACY). Pathak R et al. Journal of the American College of Cardiology. 2015;65(20):2159-69. doi:10.1016/j.jacc.2015.03.002.

