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うがい薬と心房細動

院長ブログ

うがい薬と心房細動

昨年起きたことです。「うがいをしすぎて心房細動を発症した患者」が来院されました。主訴は動悸です。心電図は心房細動で、血液検査をすると、甲状腺ホルモンが異常に上昇しています。バセドウ病を疑い検査してみると、そうではない。生活習慣を伺うと、「コロナ感染が怖いので、毎日イソジン液でうがいをしていた」というのです。

去年の夏、大阪府知事が「イソジンでうがいをすることで、このコロナに打ち勝てると思っている」と発表されました。それを真に受けて毎日うがいを続けていたそうです。

イソジンにはヨードが含まれています。ヨードは昆布やわかめに含まれているミネラルで、甲状腺ホルモンの材料です。そしてヨードを取りすぎると、甲状腺機能亢進症をきたすことがあります。ヨード誘発性甲状腺機能亢進症と言われています。この患者さんはうがい薬が咽頭を通して体に入り込み、一時的に甲状腺機能亢進症を発症したと考えられます。甲状腺機能亢進症は10〜20%に心房細動を合併します。その状態で外来に来られたのです。

この方は連日のうがいを中止したところで、甲状腺機能亢進症は治まり、それと同時に心房細動も治まりました。イソジンうがい液は、口腔や咽頭で、細菌、ウイルスに感染している人には有効です。しかし、毎日実施することでそれらの感染予防ができるというエビデンスはありません。健康に対する過度なケアが却って不健康な状態にすることもあるので要注意です。