第2部 心房粗動

第2章 治療

第2章 治療

心房粗動の治療

大きく3つの治療方法があります。薬物治療、電気ショック治療、カテーテルアブレーション治療です。

薬物治療 脳梗塞を予防するために、抗凝固剤(ワルファリンやDOAC=イグザレルト、エリキュース、リクシアナ)を内服し、心拍数調節療法かリズム調節療法のどちらかを行います。

心拍数調節療法 心房粗動そのものは治療しません。心房粗動のままで、心拍数を調節するために、ベラパミル(ワソラン)やβブロッカー(ビソプロロール、アテノロール、カルベジロール)を投与します。従来良く使用されていたジゴキシンは心不全でも合併しない限り、現在では余り使用することはありません。

リズム調節療法 心房粗動そのものを停止させる治療方法です。抗不整脈薬を内服し、停止を試みます。
しかし、抗不整脈薬(サンリズム、タンボコール、プロノン、リスモダン、シベノール、ピメノール)を単独で使用すると、電気刺激が旋回路を1周する時間が延長し、心房興奮が心室に伝わる比率が2:1から、1:1になり、逆に心拍数が速くなることもあります。
それを予防するために、ベラパミルかβブロッカーを一緒に投与するのが一般的です。ただし、アミオダロンの場合は同時に心拍数も遅くなるために、単剤で使用され場合もあります。

電気ショック治療 電気ショックにより、強制的に心房粗動を停止させます。確実な治療方法ですが、心房の傷そのものを治療する訳ではないので、根治療法にはなりません。

カテーテルアブレーション治療 心房粗動の旋回路を明らかとし(図1)、回路の一部に電気が通れなくなるようなブロックライン(図2)を作成し、心房粗動を停止させます。根治療法です。
当院で行っている心房粗動に対するカテーテルアブレーション:全身麻酔下で、頸部と大腿部の静脈からカテーテルを挿入します。
3次元マッピングシステム(カルト)とペンタレイカテーテルを使用し、心房粗動の回路を明らかにします(図1)。アブレーションカテーテルで回路の一部にブロックライン(図2)を作成します。手術成功率は90~95%です。合併症は、血栓塞栓症が0.1%、心タンポナーデ0.2%です。

図1
(図1)
図2
    (図2)


※図表の説明

70歳の女性が、僧帽弁閉鎖不全症に対する手術を行われました。術後に心房粗動が発症し、急性左心不全を呈したため、当院へ紹介されました。カルトとペンタレイを用いたマッピングを行うと、手術の際に結紮された左心耳の付け根の周囲を旋回するような電気回路(図1)によって心房粗動が持続していることが判明しました。その付け根の部分と僧帽弁輪をつなぐようなブロックライン(図2)を作成することで心房粗動は停止しました。

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