心室性期外収縮のアブレーション治療はどのような人に適応があるか
心室性期外収縮のアブレーションの適応のある人は1)心室性期外収縮による動悸症状がある人、2)心室性期外収縮が10000発/日以上あり、将来、心機能が低下するかどうか不安な人です。
この心室性期外収縮で困ったことは3つあります。1つ目は症状です。全く症状のない方もいますが、一般的には脈が飛ぶ、心臓がドキンと大きく動く、咳がでる、息切れなどを自覚します。またその強さも様々で、軽い症状の人や、非常に不快に感じ、日常生活に支障を来す方もいます。2つ目の困ったことは、心室性期外収縮が一日1000発以上出現している人は、突然死の可能性が1/1000から1/500に上昇することです。しかしこの可能性はとても低いので、一般的には心配するほどでもなく、もし仮に突然死したならば、運が悪かったと諦めるしかありません。3つ目は心室性期外収縮が10000発/日以上出現している人は、20%(10人中2人)の可能性で次第に心機能が低下することです。この20%という数字は比較的高く、それが不安で仕方ないという方も存在しますが、自分は残りの80%に入ると思うから、不安はないという楽観的な人もいます。
薬物で症状が治まる人もいますが、薬が全く効かない人も多くいます。また薬物では将来の心機能低下の抑制はできません。以上より、心室性期外収縮のアブレーションの適応のあるかたは1)心室性期外収縮による症状があるが薬が効かない人、もしくは薬を内服するのが嫌な人、2)心室性期外収縮が10000発/日以上あり、将来心機能が低下するかどうか不安で仕方ない人ということになります。
カテーテルアブレーションの際は、心電図の波形から起源の場所を数センチメートルの範囲で推定し、カテーテルをその近辺に持っていき、心室性期外収縮が出たときの心臓内の電気の興奮状態を見て、ピンポイントで起源を同定します。カルトシステムの技術の発展により、カテーテル室で一発でも出ていれば、ほぼピンポイントでアブレーションが可能にはなりましたが、心室性期外収縮がある程度出現している方が成功率が高くなります。アブレーション成功率は80−90%です。