「突然ドキドキした」
「胸が飛び跳ねる感じがする」
「脈が乱れている気がする」
動悸は循環器外来で最も多い受診理由の一つです。
しかし、実は動悸の原因は不整脈だけではありません。
動悸の原因とは?
世界的な教科書である『ハリソン内科学』によると、動悸の原因は、
- 心臓が原因(心原性) 43%
- 精神的要因 31%
- 原因不明 16%
- その他 10%
とされています。
つまり、半数以上は必ずしも重大な不整脈ではないということです。

動悸はなぜ夜に多いのか
動悸を訴える患者さんの多くが、
「夜寝る前に感じる」
「静かにしている時に気になる」
「横になると分かる」
とおっしゃいます。
これは夜になると不整脈が増えるからとは限りません。
日中は仕事や会話などで注意が分散されていますが、夜間や安静時には心拍そのものに意識が向きやすくなります。
そのため普段から存在している軽微な不整脈を自覚しやすくなるのです。

最も多い原因は期外収縮
動悸の原因として最も多いのは期外収縮です。
期外収縮とは、本来のリズムより少し早く心臓が収縮してしまう現象です。
健康な方でもみられます。
患者さんはしばしば、
- ドクン
- ガクン
- 胸が落ちる感じ
- 一瞬止まった感じ
として感じます。
なぜ期外収縮は強く感じるのか
実は、多くの方が感じているのは期外収縮そのものではありません。
期外収縮の後に起こる「次の拍動」を感じていることが多いのです。
期外収縮が起こると、その直後に少し長めの休止期が生じます。
すると心臓の中に通常より多くの血液が溜まります。
その結果、次の正常拍動ではより強い力で心臓が収縮し、多くの血液を送り出します。
これを医学的には
Post-extrasystolic potentiation(期外収縮後増強現象)
と呼びます。
患者さんが感じる
「ドクン!」
という大きな拍動の正体は、この強くなった次の一拍であることが少なくありません。
持続する動悸では注意が必要
一方、数秒から数分以上続く動悸の場合は別の不整脈が隠れていることがあります。
代表的なものは、
- 発作性上室性頻拍
- 心房細動
- 心房粗動
- 心室頻拍
などです。
これらは治療が必要になる場合もあります。
特に、
「突然始まって突然止まる」
という症状は発作性上室性頻拍を疑う重要な手掛かりになります。
不整脈以外の原因
動悸は不整脈だけで起こるわけではありません。
例えば、
- 僧帽弁逸脱症
- 大動脈弁閉鎖不全症
- 肺塞栓症
- 心房内腫瘍(心房粘液腫)
- 甲状腺機能亢進症
- 貧血
- 発熱
- 更年期症状
- 不安やストレス
などでも動悸を感じることがあります。
そのため、「動悸=不整脈」と決めつけることはできません。
動悸を感じたらまず何を確認するか
動悸を感じた際には、まず脈を触ってみましょう。
おすすめは手首の橈骨動脈よりも、肘の内側の上腕動脈です。

確認するポイントは次の3つです。
- 規則正しいか(Regular)
- 不規則か(Irregular)
- 規則的な中に時々脈が飛ぶか
期外収縮であれば、
「トク・トク・トク・ドクン」
というように、規則的な脈の中に不規則な拍動が混じることが多くあります。
一方、心房細動では脈の間隔そのものがバラバラになります。
また、可能であれば1分間しっかり脈拍数を数えてみてください。
130回/分以上の頻脈が持続している場合は、不整脈の可能性が高くなります。
こんな時は早めの受診を
動悸に加えて、
- 胸痛
- 息切れ
- めまい
- 失神
- 冷汗
を伴う場合は早めの受診が必要です。
また、
- 突然始まり突然止まる動悸
- 数十分以上続く動悸
- 頻繁に繰り返す動悸
も循環器専門医への相談をおすすめします。
記録が診断への近道
動悸の診断で最も重要なのは、「症状が出ている時の心電図」です。
しかし、診察室に来た時には症状が消えていることも少なくありません。
近年ではApple Watchなどのウェアラブル機器で心電図を記録できるようになりました。
動悸を感じた時に記録できれば、診断に非常に役立ちます。
東京ハートリズムクリニック新宿でも、Apple Watchの記録をきっかけに心房細動や発作性上室性頻拍が見つかることが少なくありません。
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