不整脈という病気の症状の一つに失神があります。
失神とは一時的に意識がなくなることをいいますが、医学的には意識消失発作と呼ぶことが多いです。
失神の原因
失神は、不整脈が原因で起こることもありますが、不整脈以外にも血圧の低下やその他の心臓の病気、脳血管疾患や癲癇(てんかん)で起こることがあります。
特に基礎疾患がなくても自律神経の過剰な反応で起こることもあります。
失神は危険な症状の一つ
はじめて失神を起こすとご本人も周囲の方々もとてもビックリしますね。
その時点では原因のわからない緊急事態ですので救急車を呼ばれることが多いと思います。
意外にも本人は意識が戻るとケロッとしていて特に普段と変わりなく過ごせたりもするため、あまり深刻に捉えられない方もいますが、失神をきたすこと自体が身体の異常事態のサインであること、失神の状況によっては大ケガや事故につながる症状であること、突然死など危険な前兆である可能性もあることを知っておいていただきたいと思います。

初回の失神発作
はじめての失神で受診されたら、失神の詳しい状況(患者背景、病歴、失神の誘因、前駆症状の有無、意識消失していた時間、痙攣の有無、失禁の有無、覚醒後の症状など)を確認し、主に外来検査を行って原因を推測することになりますが、その時点で重篤な異常が見つからなければ経過観察ということになります。
これはまったく問題ない、ということではありません。
「初回の失神であり、かつ明らかな異常所見がなければ差し迫っている危険はまずない」という判断です。
失神の原因で比較的多いのは神経調節性失神(迷走神経反射とも呼ばれます)ですが、これは一時的に自律神経が過剰に反応して起こる失神です。
神経調節性失神は、そのまま生命に関わることはまずないため比較的良性の失神と言えますが、それでも失神した時の環境や状況によっては大ケガや事故につながることもありえますので、やはり注意が必要です。
失神は基本的に頻繁に起こる症状ではなく、一度失神を経験をしたとしても一生で一度っきりの失神だった可能性も少なくありませんので、総合的に判断して、初回失神に関してはそのまま経過観察をすることが最も妥当と判断されることが多いと思います。
繰り返す失神
しかしながら、失神が繰り返し起こる場合は要注意です。
この場合は何らかの基礎疾患が隠れている可能性も高くなりますし、治療が必要である可能性も高くなりますので、入院検査などかなり積極的に検査が勧められます。
ところが失神の原因を調べるために入院検査をしても、そもそも失神の頻度が少ないこと、失神の状況を人為的に再現することが難しいこともあり、原因が突き止めれるのは概ね半分程度と言われております。
原因がはっきりしたら適切な治療を行うことになるのですが、はっきりしなかった場合は、植込み型心臓モニタ(3年間以上、心拍をモニタリングしてくれる小型の装置)の植込みを検討します。
もちろん心臓が原因とも限りませんので、脳神経の専門科など他科とも相談しながら確定診断を目指すことになります。
予期せぬ失神、そして突然死
失神による大ケガや事故はとても不幸なことですし、突然死は本当に悲しい出来事となります。
しかしながら、失神も突然死も現在の医学ではなかなか正確に予測することができません。
もし不整脈が原因となっていることがはっきりすれば、ペースメーカーの植込みなど適切な治療によってこの不幸な出来事を回避できる可能性が見えてきます。
少しでも多くの方が笑顔で安心して健康な人生を幸せに過ごすことができますように。


