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【THR通信】アブレーション治療に伴う辛いこと(2021年8月号)

【THR通信】アブレーション治療に伴う辛いこと(2021年8月号)

不整脈の根治的治療法であるカテーテルアブレーションは、近年の目覚ましいテクノロジーの発達、医療チームの経験の蓄積により、以前に比べて患者さんの負担、背負うリスクは大幅に軽減されてきています。

それでも我々は、極力患者さんの苦痛をゼロにする努力を続けなければなりません。

カテーテルアブレーションに伴って感じる苦痛と、それに対する当院での対策・取り組みは、次のようになります。

 苦痛対策
手術前経食道エコーがつらい  造影CTで血栓のチェック
手術中穿刺に伴う痛み 病変部の焼灼に伴う痛み全身麻酔
手術後尿道カテーテルが痛い 長時間の安静による腰痛尿道カテーテルを入れない(男性) 早期安静解除

全身麻酔で行うことのメリット、基本的に経食道エコーを行わないこと、

尿道カテーテルが不要なことに関しては、院長ブログを是非ご参照ください。

手術後の腰痛に関して補足説明させていただきます。アブレーションでは、太ももの付け根の血管よりカテーテルを挿入するため、出血を予防するため、術後はベッド上で翌朝まで安静にしている必要があります。これは穿刺部再出血といって、一度止血されたカテーテルが挿入されていた部位から、再び出血が起きる合併症を防ぐのが目的です。しかしこのベッド上安静というのが、ひどい腰痛の原因となります。さらに安静時間に関しては実は決まったものがなく、病院毎にまちまちなのが現状です。当院では腰痛予防のため、以前から、手術後3時間の時点でベッドを上げて患者さんの上体を起こしていましたが、それでも強い腰痛のため鎮痛剤を使用しないといけないケースがありました。そのため、現在ではさらに安静時間を短縮して、手術後1時間で上体を起こすようにしました。これにより、腰痛で苦しむ患者さんは格段に減少しました。さらに懸念される穿刺部再出血も増えていません。看護部が中心となって発案してデータをまとめ、次の学会で報告する予定です。患者さんの苦痛を軽減する、とても良い試みだと思いました。昨日と同じことを今日も続けることは楽ですが、何事も思い込まずに新たな挑戦をすることの大切さを改めて感じました。

槇田 俊生

※槇田Dr外来/毎週火曜午後・金曜・土曜